今日も絵はがきのお話。
右を向いてるのに、どうして左馬なの?と、よく訊かれます。これは正の向きを右と表現し、それに対して逆の向きを左と呼ぶ習慣から左馬と呼ばれています。政治の世界で保守本流を右派。革新を唱える側を左派と呼ぶのと同じですね。
左馬でよく目にするのは、山形県は天童の将棋の駒に彫られたものだと思いますが、左馬をこのような形に描いたのは父です。「お前には何も教えないよ」「教えるとお前が駄目になるしワシも駄目になる」と言われていましたが「左馬だけは覚えておけ」と唯一、手ほどきを受けました。そんな父と、あれこれ文献を探し集め、どう表現したら初めてのお客さんにも伝わるだろうかと、夜が白むまであれこれ言いながら作ったのが下の「左馬縁起」です。私たちの左馬でピンチを脱し、チャンスを膨らませた方がいらしたことが、絵描きとして、とても嬉しい出来事です。夢を叶えるまで、それを諦めない精神力をくれるのも左馬が持っている不思議な力です。