鬼っ子むぅのお話の二回目です。
私は絵描きとして生きてきました。自分の絵で物語を、などということは考えもしませんでした。強いて言えば、一点の絵にストーリーを感じてもらえるような絵を描く。それが例え短い話であっても、一冊の一頁めから御仕舞いの頁まで続く流れ作るなど学んだこともありません。でも、描きたかったんですね。前回お話したような設定が出来た途端に描き始めていました。この豆本「鬼っ子むぅ」はまだ物語…というところまでは届いていませんが、それでもいずれお話する紙芝居への布石になったことは間違いないと思います。
豆本の定義というものは特に決められているものではないようなのですが、文庫本半分の大きさ以下のものを豆本とする。と、聞いたことがあります。手に取って「小さくて可愛いなぁ」と感じられれば豆本ということでいいのでしょう。切手二枚分ほどの大きさの「鬼っ子むぅ」が出来上がったときは、思わずニヤリとしてしまいました。出版というものは、大勢の人の思惑が入り混じり、大きな費用もかかります。故に簡単には一冊の本を生み出すことは難しいのですが、豆本は全てが手作り。極端に言えば、一冊だけでも出版(?)は可能です。思い立ったが吉日な性分の私には、そのスタイルが合ったとも感じました。
さて、むぅの紹介に入りましょう。
緑豊かで空気も水も清らかなとある山里で産声をあげたむぅは、一つ山を越えたお隣の里にまで、その声が届いたとか?いうほどの元気な男の子。父さん、母さんの愛情を一身に受けてすくすくと腕白な少年へと育っていきました。
野山を駆け回り、友達とも日が暮れるまで遊んでいます。竹馬に乗ったり、川で泳いだり。相撲を取らせても里の横綱。雪のたくさん積もった日に友達が家の中から出てこなければ雪だるまと睨めっこ。そんなむぅですが、文武両道であれ!とうい父さんの教えを守り、本も読みます。桃太郎の話に出会ったときには少々、複雑な心境になったようですが。
大好物は母さんのおにぎり。いつもお願いして特大を握ってもらっています。よく噛んで葉っぱも十分に食べて、父さんに付いて狩りにも出かけます。
眠れないことなどないむぅです。そりゃぁそうでしょ。これだけ身体も頭も使いきれば熟睡は間違いなし。睡眠が下手くそな筆者は羨ましい限りです。
手のひらにすっぽり納まる小さな本に、大きな夢を描く。これも豆本の作りの醍醐味です。
この後むぅは紙芝居の中で大活躍。そこで出会った不思議な御坊さんのような人を慕うようになったり、様々な出来事とも遭遇し、大きく成長していきます。今、私の頭と心の中にむぅの将来像が浮かんでいます。じっくりと取り組み、物語としての鬼っ子むぅを完結しようと思います。でもそれはまだまだ先の話。皆さんにも存分にむぅワールドを楽しんで戴こう。そんな思いの方が先を歩いています。
今回は豆本のむぅ話になりましたが、次回からは紙芝居での彼を紹介させて戴こうと思います。お楽しみに。
つづく
豆本「鬼っ子むぅ」4.4×4.8㎝ 32頁でケース入り
草々庵にて1,600円で販売中です。