2024年4月26日
  • 京都は衣棚御池に建つ、画工 殿村栄一作品の店です。肉筆原画をはじめに、絵はがき、缶バッジ、Tシャツ、著作本などを展示、販売しています。

高江雅人 竹工芸展のお知らせ 其の参【出逢い】

高江さんと店主との出会いの前には、知る人ぞ知る一乗寺の出会い系焼肉店の親方、孫恵文さんとの長く深い歴史がございますので、そちらをご紹介致します。

以下、高江氏

今回の 個展を開催するにあたり、ぜびご紹介したいふたりの友人がいます。会場「草々庵」の店主、殿村栄一さんと40数年来の友、孫恵文さんです。

竹細工職人になる前、私は飲食業界にいた。学校を卒業後、京都に本店がある焼肉のチェーン店「南山」で社会人として第一歩を踏み出したのだ。そこで知り合ったのが恵文さん。お互いに21歳と19歳、世の中を何も知らない若者同士だった。初めて恵文さんと出会ったころは、性格も考え方も好みも全く正反対、まるで水と油の様な関係だった。しかし、ある出来事を境に40年以上も続く友人関係が始まる。仕事が終わると毎晩のように夢や悩みを語り合い、ときに飲み明かし二人乗りの原付バイクで歩道橋を駆け上がるなどのやんちゃもした。その後、私は29歳で「南山」を退職し、竹細工への道を進み始めるのだが、恵文さんとの友情関係はずっと続いている。

竹細工を始めて15年ほど経った頃、当時は問屋への卸しが仕事の中心だったが、同時に別の販路で新しい作品を発信していきたいとも考えていた。ギャラリーなどでの個展活動を模索し始めたのだ。この時に協力してくれたのが恵文さんだ。知り合いに声を掛け、ギャラリー探しにも同行してくれた。恵文さん宅に泊まりながら一週間近く必死で探し回ったが、結局条件に合うギャラリーは見つからず、意気消沈のまま大分へ帰ることに。ところが、その土壇場で新しい道が開けることになる。

京都駅にオープンしたばかりの伊勢丹に入りリビング売場を見ていると、私の作品が問屋経由で数点並んでいるではないか。これらの作者だと名乗り責任者に挨拶をしたところ、面白いように話がまとまり3ヶ月後にそこで展示会を開くことになった。さらに、この出会いを皮切りにトントン拍子で全国の百貨店へ出店することに。そして、そこでもまた他社のバイヤーやギャラリーのオーナー、海外からのオファーなど様々な出会いやチャンスが生まれたのだ。

全国のデパートに出展するようになった頃、件の京都伊勢丹で奇妙な画家と出会った。今回の個展会場「草々庵」のオーナー殿村さんである。私の売り場のすぐ近くに出展していた彼は、当時100キロを越える体躯で回りの空気を威圧するかのような雰囲気を漂わせていた。しかし、何ともいえぬ優しい文字と、人の心をほっこりさせる可愛い絵を描くのだ。私はこの巨漢に大変興味が湧き、閉店後に一緒に食事をしないかと恵文さんの「焼肉屋いちなん」へと誘ったのだ。その後、いつの間にか殿村さんは伊豆から京都に居を移し、恵文さんとも切っても切れない関係になっていた。

さて、この20数年間は全国のデパートでの展示会が中心だったが、65才になったいまは、自分の世界を自由に作り出せる、個人ギャラリーでの展開へと舵を切り始めている。一年前、このアトリエを開いたばかりの殿村さんから「2階を使って個展をしませんか?」と、今度は彼から誘われたのだ。もちろん、 恵文さんも熱烈な応援を買って出てくれる。

今回の個展では、竹や作品を始め作者の私自身についても、このふたりの友人たちと同じような距離と目線で関わっていただきたいと願っています。竹のことなら(それ以外でも)どんな質問にも答えます。いっしょに作品も作りましょう。酒も飲みましょう。そして、大分の工房にもぜひ遊びに来てください。

 

そして、孫恵文さんが語る高江雅人さんは以下の通りです。

 

高江雅人氏に初めて会ったのは1977年9月4日、大分県中津市で一年間の研修を終え、新しい勤務先の名古屋店へ到着した日の夜だ。満面の笑顔で迎えられ、私たちはすぐに親しくなる。それから40数年、飲食業での独立を目指した若者は、突然竹細工の業界へ転身し見る間に日本を代表する名匠となった。美的感覚や芸術的素養があるなど当時は知る由もなく、その後も年に一度ほどしか会わないので、彼の快進撃や大成功はいまでも信じられないほどだ。「会長に教わったことを続けている」。彼はしばしばそう言って飲食時代の師匠に感謝を述べる。各経費や営業利益を綿密に計算し、明確な経営目標を立て書式化する。また自ら培ったノウハウは惜しみなく弟子に伝え、経営者として独立させる。同じことを習ったのに息子の私は実行できずに、一方彼はこともなげにやり遂げた。この稀代の工芸士は一流の経営者であり、また教育者なのだ

 

このお二人の間に入り込める者ではない店主ですが、私と孫恵文さんを結び付けてくれたのは、他ならぬ高江さん。正三角形では決してございませんが、この御縁から授かった一つの形が、今回の個展開催ということであれば、三つのうちの一つの点として努力致しますので、応援のほど宜しくお願いいたします。

 

スリーショット

初スリーショット。この日から私の京都ライフが始まったとも言えます。それにしても、よぉ肥えてましたなぁ。推定ですが今より30キロは重たかったはずです。

コメント一覧

青木みさ子2020年4月2日 5:21 PM / 返信

不思議で魅力的な人間性を持つ孫さんのヒューマンネットワークの一端に降れる事が出来て、普通のおばさんの私も素敵な方達と知り合えて世界が広がりました。 コロナの影響でイベントが失くなったことは残念ですが終息後に楽しみが延びたと考えることにします。

    sosoann2020年4月5日 7:26 AM / 返信

    ありがとうございます。そのように仰って戴けますと救われる気持ちです。これから、いつまで我慢をするのかは見えてきませんが、平和が当たり前の時代を生きさせて貰ってきた私の、これは戦争だと思っています。勝つまでは諦めません。終息の折りには思いっきり草々庵しにいらしてください。

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