2024年4月20日
  • 京都は衣棚御池に建つ、画工 殿村栄一作品の店です。肉筆原画をはじめに、絵はがき、缶バッジ、Tシャツ、著作本などを展示、販売しています。

鬼っ子むぅのお話 其の一

草々庵、店主独自のモチーフであり、豆本や紙芝居などの主人公でもある「鬼っ子むぅ」のお話を、物語本意ではなく、作者の思いから順を追ってお話していきたいと思います。

鬼っ子むぅはふとした拍子に誕生しました。

最初は一枚のポストカードのために、ずんぐりとした体つきに虎のパンツをはき、金棒を持った、目力の強い赤鬼の男の子を思い浮かべて描いたことを覚えています。九年ほど前のことでした。それから半年ほど経って、豆本にしてみよう、それにはどんな子なのかという性格付けが必要になったわけです。大概は赤鬼というと、邪悪な心をむき出しにして我が物顔に振る舞う怪物のような存在として置かれてきましたが、この子を悪い子にはしたくない。腕白だけれど、心根に優しさを持ち、力持ちだけど喧嘩を売ることは元より、買うことも上手にかわしてしまう。そんな体育会系できすぎくんの性格描写を思いつきました。かなり強引な話です。友達にも、同じ鬼の子と熊、河童など、キャンプ好きな私は森の生き物たちに登場してもらうことにしました。豆本「鬼っ子むぅ」では、むぅの紹介…のような仕上がりになりましたが、縁あって描くことになった紙芝居は、気が付くと七作になっていました。それまで物語など描いたこともないのにね。

昭和三十六年生まれの私が子供の頃には、短パンにランニングシャツ一枚で外を駆け回っている子供が当たり前のようにいたものです。そんな時代の男の子の記憶が自然とむぅの姿や心を作り上げていったのでしょう。次の投稿では、豆本「鬼っ子むぅ」の内容を絡めてお話していきたいと思います。

つづく

赤ん坊むぅ

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